日時
2024年11月2日(土)
10:00~15:00
場所
国際教養大学B棟 「B103」及びオンライン(Zoom、YouTube)
講師
国際教養大学 専門職大学院
日本語教育実践領域 左治木敦子先生
国際教養大学 日本語プログラム
平田友香先生、近藤裕美子先生、町田絵美先生
チラシ
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レポート
11月2日(土)、日本語学習支援者養成講座「授業に役立つ学習支援のポイント総まとめ」の3日目を開催しました。
午前の部は、「教材・教具紹介」をテーマに、左治木敦子先生をメイン講師に迎えて対話型・生活者としての外国人向けの教材とその使い方について学びました。はじめに、教材選びを含む教師の決定・行動の基盤となる、無意識のビリーフス(信念・教師像)について知るため、受講者自身が8枚の象徴的な絵から自分の持っている教師像に最も近い絵を選び、自己紹介も兼ねて理由を全体で共有しました。学校で受けた英語教育など自分の言語学習の経験から無意識のうちに強い影響を受けてしまうことを踏まえて、先生からは「教える、覚えさせるというよりも学習者から情報を引き出すイメージを持ってほしい」とのお話がありました。そして、“その人らしさ”を実現する(学習者の望みをかなえ、満足して暮らせるようにする)ために必要な日本語を学ぶ、「私らしく暮らすための日本語ワークブック」と、ある言葉と一緒に使われやすい言葉を組み合わせて覚えていく「初級から学ぶ日本語コロケーション」を取り上げ、それぞれの特徴や使い方を知るとともに、地域でよく使用されている「みんなの日本語」と併用する方法も学びました。
また、100円ショップに売られているボールを加工して形容詞や動詞の活用を復習する「まりボール」や、会話やタスクの模擬練習に使える「ロールカード」、自律学習に利用できるアプリなど、様々な教具を受講者との実演を交えて紹介してもらいました。まとめとして、「日本語教師・学習支援者は、学習者のコーチであり、トレーナーであり、日常生活と教科書の間のギャップを埋める橋渡し的存在」とのお話があり、受講者にとって教師像を見つめなおすきっかけになったようでした。
初日から続いた座学が午前で終わり、午後からはいよいよ次週の模擬授業に向けた実践活動に入りました。「紹介された教材を使って活動案を考えよう」と題し、ワークシートを使用して学習者の声を聞く準備をした後、誰でも無料で入手・使用できる「いろどり 生活の日本語 初級1」(独立行政法人国際交流基金日本語国際センター)の第9課、第15課を教材とする活動案をグループ毎に考えました。自己開示はどこまで行うか、どう「やさしい日本語」で伝えるか、Can-doをどう設定するか、指導者としてどんな発話(フィードバック)をするかなど、座学編で学んだ知識を思い返しながら話し合いました。活動案を作るのが初めての受講者も多く、最初は戸惑う様子も見られましたが、先生方から丁寧なサポートがあり、進めることができていました。
受講者アンケートでは「具体的な教材やワークの紹介がとても参考になった」「教案を書く作業をとおしてどのように授業をすればよいか考えることができた」といった感想がありました。
質疑応答の時間では講義内容に収まらない様々な質問や相談があり、受講者のみなさんの学ぶ意欲や日本語学習支援への熱意に先生方も感嘆していました。
受講者のみなさんは、次週の模擬授業という山場に向けて一段と気持ちが高まったようでした。