日時

2024年10月19日(土)

10:00~15:00

場所

秋田県社会福祉会館 本館A棟「合同研修室」及びオンライン(Zoom、YouTube)

講師

国際教養大学 日本語プログラム 
  平田友香先生、高橋里帆先生、町田絵美先生

チラシ

チラシのダウンロード

レポート

 

日本語教育の基礎的な知識や指導技術を身につけ、地域において在住外国人の日本語学習を支援することができる人材を養成することを目的とした「日本語学習支援者養成講座」を4日にわたり開催しました。

今年度は、2020年から開催してきた当講座の集大成として「授業に役立つ学習支援のポイント総まとめ」をテーマに、日本語学習支援の肝となる項目について“授業での実践”という視点から改めて学んでもらうとともに、グループワークで考えた活動案をもとに受講者自身で模擬授業を行ってもらいました。1日目から3日目までは、昨年に引き続き、会場、Zoomによる同時配信、YouTube後日配信の3つの受講方法を用意しました。

1日目(10月19日)の午前の部では、平田友香先生をメイン講師に「異文化コミュニケーション」について学びました。最初に受講者同士で一般的な自己紹介を行った後、相手が日本語学習者という想定で再び自己紹介を行い、話す内容やジェスチャーの使用頻度など、自己が文脈によって変化するということを体験しました。そして、「自己開示」(自分の態度や意見、仕事、パーソナリティなど自分自身に関することを相手に打ち明けること)について、支援者としてどこまで行うかや、自己開示の際に注意するポイント、学習者から自己開示してもらうときの留意点について話し合いながら学びました。また、受講者自身の実体験も踏まえながら、異文化との接触で起こりうるカルチャーショック体験を“否定”、“防衛”、“受容”といったステージに分けて整理した後、高テクスト文化と低コンテクスト文化の違いについて、それぞれにおける伝え方を考えるアクティビティを通して体感しました。さらに、国によるジェスチャーの意味の違いや採点時の記号の違いなど、授業で気を付けるべき非言語コミュニケーションのポイントを確認し、最後に、外国で生活するということについて学習者目線で留意したいポイントを押さえました。

午後の部では、高橋里帆先生をメイン講師に「やさしい日本語」(難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮した分かりやすい日本語)について学びました。県内在住外国人の国籍・言語の多様化が進んでいることや、外国人が希望する情報発信言語が「やさしい日本語」であることを示す統計など、「やさしい日本語」が必要とされる背景を確認した後、使用する際のポイントを様々な文例を用いて学び、ワークシートによる日常用語の言い換え練習をたくさん行いました。その後、授業の場を想定し、学習者とのコミュニケーションに必要な言葉や文法の説明を「やさしい日本語」に言い換える練習も行いましたが、日常用語はスムーズに言い換えできていた受講者も難儀する場面が多く見られ、先生からは具体例とともに「日頃から『これをやさしい日本語で伝えるにはどう言うか』を考える習慣をつけると良い」とのアドバイスがありました。練習後には、どのように言い換えたかをZoom受講者も含めて会場全体で共有する時間が設けられ、お互いに語彙や表現の引き出しを増やす機会になったようです。

受講者アンケートでは「アクティビティや話し合う時間が多くあり、集中して取り組めた」「テンポよく、とても勉強になった」「先生や受講者の皆さんの意見を聞いて自分の知見を広げることができた」といった感想をいただきました。

午前の部、午後の部ともにグループワークが多く組み込まれ、先生と受講者の双方向のやり取りで講義が進んだことで、実践的かつ楽しく学べる講座となりました。